急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!

「亜里砂!誓って言う!信じてくれ!
あれは一夜の遊びだった。
あの女がしつこく言い寄ってきたから、一度だけという約束で、ちょっと遊んでやっただけなんだよ…。
あの女は、俺と亜里砂が婚約しているのを知った上で、『誰にも言わない、一晩だけでいいから、俺を忘れるために、思い出づくりとして俺と一緒に過ごしたい』と言ってきたんだ。
もちろん一夜だけの約束だったから、避妊だってちゃんとしたさ。
子どもなんてできるはずがない。
だからあんな女が何を言おうとも、亜里砂が気に病む必要なんて、これっぽっちも無かったんだよ。
あれは本当に、ただの軽い遊びで、俺の心は亜里砂にしかなかったんだから…。俺たちは、あんな女なんて無視して、あの時あのまま結婚してしまえば良かったんだ」

(この人は何を言ってるの?私は何を聞かされてるの?いったい、何を信じてくれと言っているんだろう…)
亜里砂は、勝手に話し続ける池澤の顔を、呆然と見つめる。

「二年前のあの日だって…俺は披露宴の後、亜里砂の所に急いで行こうとしたんだ!
もう一度結婚式をやり直してもらうために…!
でも親父と兄貴に、それを止められた。しかも、俺を部屋に閉じ込めておいて、親父と兄貴があの女と婚姻届を書いて、勝手に役所に提出しちゃったんだぜ。酷い話だろ…。
俺は勿論抵抗したけど、親父が『子供ができたのなら仕方ないだろう…これ以上恥を晒すな』ってさ、殴るんだよ」

池澤は、当時を思い出したのか苦々しく言う。

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