急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
「相変わらず薄情な女だね。それが、一生愛すると、神の前で共に誓った男に言う台詞か?
俺はこの二年…ずっと君に会いたくてしょうがなかったというのに…」
池澤はフンと顎を逸らして言う。
付き合っている間は、ずっとどこか亜里砂の顔色を窺っているようだったのに。
どうやらこちらが本性のようだ。
「あの場の誓いなんて無効ですよ。そもそも裏切ったのは貴方の方じゃないですか」
「裏切りだと?よく言うよ。
愛を誓った式の時だって、俺のことなんか、これっぽっちも好きじゃなかったくせに…」
「!」
「やっぱり、図星だったんだな。
でもいいよ、許してやるよ。あの時はそれでいいと俺が言ったんだから…。結婚してしまってから、ゆっくり俺を好きになって愛してくれれば良いって…。そうさせる自信もあった」
「それは…!でも貴方だって私の事なんか、少しも愛してなかったのに結婚しようとしたんでしょう?」
「いいや、違う。俺は愛してたよ。君がそんな風に考えていたとは…心外だな…。
俺は、君が俺を愛してくれていなくても…それでもいいと思えるくらい…入社してきた君を初めて見た時から、ずっと好きだったし、欲しかったし……今でも勿論愛してる」
「は⁉︎」
(今でも…愛してる…?)
「本当だよ。なのに、あのつまらない嘘つき女が、俺たち二人の人生を滅茶苦茶にしたんだ」
池澤は心から悲しげに言い、亜里砂の手を掬い両手で握った。