蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜
その花の名前
『れんちゃん』
『だいちゃん』
『ぼくね、れんちゃんのことが
いちばんだいすき』
『れんだって、だいちゃんのことが
いちばんだいすきだよ』
『だったらね?おっきくなったら
ぼくのおよめさんになってくれる?』
『およめさん?』
『だいすきでいるとけっこんするんだって
ぼく、れんちゃんにおよめさんになってほしいの
ぼくとけっこんしてくれる?』
『うん、れんね、だいちゃんのおよめさんになる』
『『ぜったい』』
『『おやくそく』』
□□□
懐かしい夢を見た
陽だまりのような彼は
いつも側で私の手を繋いでくれた優しい王子様
目蓋を開くとあの頃より大人な彼の寝顔が見えた
キリッとした眉毛
長い睫毛
スーッと通った鼻筋
薄い唇
ニキビ跡なんて見当たらない肌
サラサラの黒髪
「完璧過ぎ」
呟いた小さな声で彼が起きないか目蓋をジッと見つめてみたけれど
規則的な呼吸が聞こえるだけでホッとする
長い腕と脚が絡まっている身体は
動かせそうにないけれど
その温かさに頬が緩む
もっと密着したくて僅かな隙間を埋めるように近づくと
回された腕がギュッと締まったあとで
大きな手がトントンとリズムを刻んだ
「フフ」
・・・嬉しい
子供をあやすような
その手の動きにも大ちゃんの優しさを感じる
次に目覚める時も
大好きな大ちゃんの腕の中がいいな・・・
少し体温の高いその中で
またひとつ“幸せ”と溢して
微睡む意識を手放した