ドキドキするだけの恋なんて
7

それから 何度か 上原さんと 食事をして。

最初の印象通り 上原さんとの時間は 心地良くて。


付き合おうとか そういうことは 何も 言われないまま

週末は 上原さんと 過ごすように なっていた。


曖昧な関係は 恋愛リハビリ中の 私には 丁度良い…


グイグイ 距離を 詰めてこない 上原さんは

落ち着いた大人で 余裕さえ 感じた。



「あず美 上原さんと 付き合っているの?」


相変わらず 時々 電話してくる タケルに

上原さんのことを 聞かれたのは 1ヵ月が過ぎた頃。


まだ タケルを 振り切る決心が 無い私は

タケルとの電話を 拒否することも できずにいて。


いい加減 はっきりしないとって 思い始めていた時。


「会ってたら いけない?」

「上原さんのこと 好きなの?」

「そんなこと タケルに 関係ないでしょう?」


「止めろよ あず美。俺と 付き合えよ。」

「……」

「俺 もう あず美を 泣かせるようなこと しないから。」


私は 恐ろしく 心が揺れてしまう。


上原さんへの 気持ちと タケルへの 気持ちは

全然 違うから。


「タケルとは もう終わったの。もう一度 付き合うなんて 無理だわ。」

「どうして? 上原さんとなら 付き合えるのに?」

「別に 上原さんとも 付き合ってるわけじゃ ないわ。一緒に 食事してるだけよ。」

「じゃ 俺とも メシ食おうよ。」


自分で ずるいって わかっていたけど。

上原さんと 付き合うって はっきり言うべき なのに。


「タケルと上原さんは 違うわ。タケルとは もう 会わない方が いいの。」

「何だよ、それ? すぐに 付き合わなくても いいから。たまに会って メシ食うくらい いいだろ? 友達として…」


「だから。タケルとは 友達には なれないの。」


私は 自分の気持ちが わからくなっていた。


何故 タケルを 拒まないのか…

上原さんを 好きなのかどうか…


何も言わない 上原さんに 甘えて。

考えることを 先送りに していたけど。


そろそろ 自分で 決めないといけない。

わかっていたけど…







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