今宵、狼神様と契約夫婦になりまして(WEB版)

 目を見開いた相澤は、すぐに探るような目で陽茉莉を見つめる。陽茉莉は居心地の悪さを感じて身じろいだ。

「お守り、会社に忘れてきちゃったんです。普段はポーチに入れているんですけど、整理しようとデスクに──」
「……なるほど」

 相澤は顔を片手で覆うと、はあっと溜息をつく。

「すぐそっちに行くから、待ってて」

 そう言われた陽茉莉は、おずおずと部屋に戻った。ベッドに横になってすぐに、宣言通りに相澤は陽茉莉の部屋に来た。

「ここにいてやるから、寝ろ。この家に、邪鬼は来ない」
「絶対に?」
「絶対に、だ。万が一に来ても、俺が必ず助けてやる」
「寝ている間にいなくならない?」

 なおも不安で相澤を見上げると、眉根を寄せた彼はポンっと狼に姿を変える。
 そして、陽茉莉の部屋の床の絨毯の上で丸くなった。
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