マネキン少女
青春
「るるちゃん!荷物がとどいているわよ!」


おばさんにそう言われ、荷物を受け取った。


中身は、読者モデルとしての初舞台を飾る事になった雑誌だと、送り人の場所を見て分かる。


子供が親におもちゃを与えられたかのような気分になったが、冷静さを保ちながら自分の部屋に戻った。


袋を丁寧に開けて行くと、雑誌が入っている。


撮られた時の乾いたシャッター音を思い出しながら、雑誌を手に取ると1ページづつ目を通していく。


専属モデルの可愛さに目を奪われる。


いつか、この場所にまで登れたらいいのになんて思っていたら、読者モデルのコーナーが出て来た。


「わぁぁ!」


雑誌のほんの片隅に、イタズラな笑みを浮かべながら一丁前にポーズを決めている私が載っている。


なんだか、ひとつ皮を破ったような満足感。
私でも、モデルになれたという安心感。


誰かに雑誌を見せたいと思ったが、家にも学校にもそんな相手は存在しない。


誰かと喜びを共有したいだけなのに相手がいない。


その事実が悲しいという気分を侵食させる。


せめて本を大切に保管して置こうと考えてて本棚に置いた。





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