今さら本物の聖女といわれてももう遅い!妹に全てを奪われたので、隣国で自由に生きます

勝手に幸せになってれば?

「殿下の態度は婚約者にとるには最悪にも程があるものです。ご自覚はないようですけど。だけど───その責任の一端は私にもあります。私のおどおどした態度があなたの態度を助長させてしまったかもしれませんわね」

「え?あ、ああ…………」

殿下は訳が分からない、と言ったように私と飴玉を見比べている。私は彼を見て、またにこりと笑った。

「ですから、痛み分けとしませんか?」

「……………は?」

「この飴玉の中のひとつには、毒が含まれています。即効性のある致死毒です。舐めただけで死にます」

「なっ…………!!」

「ですから、この飴をひとつ、私と殿下がお互いにひとつずつ食べるのです。大丈夫、毒の飴はひとつしかありません」

殿下が後ずさった。ミレーヌは爪の先が白くなるほどきつく彼の衣装を掴んでいる。

「お互いに飴を食べて───それで死んだらそこまで。だけど、もし生きのびたら。そしたら、今回のことはなかったことにしましょう」

ね?

私はそう言って飴の袋をふってみせた。それだけで殿下はびくりとその肩を震わせた。飴を投げつけるわけでもなし、というか飴を投げつけたとしても人はしにはしないのにその怯えよう。
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