契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました

見合い話

「渚、見合いをしなさい」

　渚が出した食後のお茶をひと口飲んで、父龍太郎が言う。それを聞いて、渚は危うく自分の分のお茶を溢しかけた。
　姉夫婦の家に行った日の次の日、日曜日の夜である。
　食卓には姉夫婦のところからもらってきたカサゴのお刺身が並んだ。父はそれを美味しそうに平らげて、いつものように温かいお茶を飲んだ。
　そしてその言葉を口にしたのである。
　渚はあまりのタイミングにびっくり仰天してしまう。
　だって、こんなにどんぴしゃりで祐介の予想が当たるとは……。
　あの時彼は姉に、『なにも聞いていない』と言っていたけれど、本当はやっぱり何か知っていたのでは？と思うくらいだった。
　自分のお茶を持ったまま固まっている渚をジッと見て再び龍太郎が口を開いた。

「見合いをしなさい。お前ももう二十四歳だろう。信頼できる人と結婚をして、親を安心させるべきだ」