隣の部屋の新人くん
たこ焼きパーティー
土曜日。
何もすることはない。
スマホの中の、佳弥とのやり取りを眺める。

昨日の夜送った「今電話できる?」には返事がない。

3月下旬の「イスラエル楽しいよ」が最後。
イスラエルに行ってから、まだ2回しか返事がない。

もしかして、私たちって終わってるの?

なんで連絡くれないんだろう。

突然スマホが鳴る。

少しだけ期待してしまった。

坂口諒。
なーんだ。

少し落ち込みつつも仕事関係かもしれないから、とりあえずすぐ電話に出た。

「今日暇ですか」

開口一番これ。

「暇だったらなんなの」
「うちでたこ焼きパーティーしませんか」

たこ焼きパーティー。
何年も耳にしてない響きだ。

社会人になってから遠のいてる。

さすが、新卒採用。

「誰来るの」
「誰も来ません」

ん?二人?

私は少し苦笑いになる。

「それはパーティーとは言わないんじゃないかな」
「ですね。パーティーパーティー詐欺でした」
「パーティーパーティー詐欺?」
「どうでもいいこと拾わないでください、食べましょうよ、たこ焼き」

二人でたこ焼きかあ。
盛り上がるのかな、それ。

しかも1年目の子と、何話したらいいんだろう。

「他に誰か誘わないの?」
「課長と同期しか連絡先知らないんですけど、みんな家遠いんですもん」

課長と1年目が来るなら、私は行く気にならない。
それなら、坂口くんと二人の方がまだいいかもしれない。

「じゃあ、行く」

そう言うと、坂口くんは「いえーい」と簡単に喜んだ。

「買い出しからなんですけど、一緒に行きません?」

坂口くんはそう続けた。

「えー・・・」

渋ってはみるものの、今日の私には何も予定はない。

「ジュース1本奢ります」

私は、その一言でたこ焼きパーティーの買出しに釣られた。
安い女だ。
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