7歳の侯爵夫人
コンスタンスは事故後ルーデル公爵邸に移るまで部屋に篭っていたこともあり、王都の侯爵邸はほとんど覚えていなかった。
あの時は彼女の看護もルーデル公爵家で担っていたため、使用人たちとも全く接していない。

しかし、カレンが出て行き、王都に残していたセイの指導もあって、ヒース侯爵邸の雰囲気はガラリと変わっていた。
セイはカレンの息がかかっていた使用人は全て解雇し、真面目で誠実で口が固い者のみを邸に残した。
だから皆、ヒース領の邸の者たちと同じようにあたたかく侯爵夫妻を迎えてくれたのである。
もちろん皆、コンスタンスの記憶喪失のことも承知している。

到着したその日から、当然のようにオレリアンとコンスタンスは同じ部屋で眠っている。
さすがに2ヶ月も一緒にいれば慣れたのか、オレリアンが寝不足になることはなくなった。
というか、かえって可愛い抱き枕のおかげで安眠しているくらいである。

そして、翌日から、オレリアンは職務に復帰した。
コンスタンスもいずれは社交界に復帰しなくてはいけないだろうが、今はまだ、侯爵邸で蜜月の続きを楽しむつもりだ。
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