7歳の侯爵夫人
「王妃様は自分が斡旋した縁談でコニーが不幸になったと責任を感じておられる。なんとか力になりたいとお申し出くださっているのだ」
「そんな…!何を、今更…」
夫の話を聞いた公爵夫人は頬を引きつらせた。
たしかに今の混乱を招いている一端は、縁談を仕切った王妃にもあるのだ。
王妃は以前も今も良かれと思って動いているのだろうが、公爵家から見れば余計なお世話以外の何ものでもない。

コンスタンスの母と王妃は親友同士であったはずなのだが、結局王族は少なからず傲慢なのだと、いやと言うほど理解させられた。
王家に嫁げば王家に染まり、王族という人種になるのだろう、と公爵夫妻は理解したのだ。

だいたい、王妃とのお茶会という名目でコンスタンスを王宮に呼び出すなんて、随分と意地の悪いことをするものだと思う。
7歳の幼児のようなコンスタンスなら、オレリアンを慕っていると王太子から聞いているはずであるし、もし記憶が戻っていると思っているなら、それこそ意地が悪い。
新婚ホヤホヤの元婚約者夫婦がいる王宮に呼び出すなど、夫妻の可愛い娘に対して、なんてデリカシーに欠ける行為をするのだろうか。
これでは、本当に心配してのことなのか興味本位でなのかわからない。

だからそれを聞いたルーデル公爵夫人は娘を抱きしめて憤った。
そんな誘いを受ける必要は無いと。
< 232 / 342 >

この作品をシェア

pagetop