7歳の侯爵夫人
王妃に対してルーデル公爵家では、不敬にならない程度に、丁重に、コンスタンスの体調不良を理由に断りを入れることにした。
しかしそれを聞いた王妃は、今度は公爵家に見舞いに来ると言い出した。

「さすがに王妃様のお見舞いまで断るわけにはいきませんわ。お父様、お母様、お兄様、私は王宮に参ります」
コンスタンスは覚悟を決めたようにきっぱりと家族に告げた。
例えお忍びではあっても、王妃を公爵家に迎え入れるには何かと準備が面倒である。
実家への迷惑を慮ったコンスタンスは、結局自分が王宮に赴くのが一番いいと思ったのだ。

しかし母は悲痛な顔で彼女を抱きしめた。
「無理しなくていいのよ、コニー。もう王家の言うことなんて聞かなくていいわ」

王宮に行けば王太子と会う可能性だってあるのだ。
例え不敬の汚名を被っても、これ以上愛する娘を傷つけたくはない。

「大丈夫です、お母様。記憶は取り戻したふりをしてお会いしてきます。そうすればもう、いらない詮索をされることもないでしょう。どちらにしろ、このままで済むとは思えないのです」
「それは、そうだが…」
父であるルーデル公爵も眉間に皺を寄せ、唇を噛む。
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