7歳の侯爵夫人

5

結婚式を終えた俺たちは、その日のうちに王都を発ち、ヒース侯爵領に向かった。
新妻をしばらく領地の邸宅で過ごさせるためだ。
それは、婚約中に俺から提案し、公爵家でも受け入れていたことである。

義母を王都の邸から移そうとしたが、なんだかんだと駄々を捏ねてなかなか出て行かないのも原因の一つだ。
だがそれより大きな理由は、コンスタンス自身王都を離れた方がゆっくり出来るだろうとの判断だった。

王太子との婚約解消からあまり時を置かずに他の男と婚約・結婚した公爵令嬢は、社交界の格好の噂の的になっている。
悲劇の主人公として同情的な声もあれば、節操がないと蔑む声もある。
どちらにしてもコンスタンスにとって社交界は針の筵のようで、当然足は遠のいていた。

できれば王家や社交界から距離を置いて、静かな暮らしをさせてやりたいー。
それは、ルーデル公爵家と俺の、共通の思いだったのだ。
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