7歳の侯爵夫人

3

えーん、えーん。
うわーん、うわーん。

まるで子供のように泣き続ける主人を、リアは抱きしめ、宥めていた。
こんなに大声で泣いていては、頭の傷に響いてもっと悪くなってしまうのではないかと心配だ。

それにリアは、この状況にかなり混乱してもいた。
リアが少女の頃からお仕えしてきた公爵令嬢コンスタンスは、本来こんな子供のような泣き方をする人ではない。

いつも冷静で完璧な淑女である主人は、多分声を殺して静かに泣く。
しかもそれを人に見せることはなく、一番側近くに仕えるリアでさえ、主人が涙を流すのを目にしたのは何年も前のことだった。

背中をさすって宥め続けていると、漸くコンスタンスの泣き声がおさまってきた。
泣き過ぎたせいかしゃくりあげているので、そのまま優しくさすり続ける。
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