死神は花を狂おしい程愛してる
邪魔な奴等
抱き返すことをせず、突っ立ったままの蒼士。
「え?どうしたの?蒼士」
「キモい…」
「え……蒼士?」
「三つ……」
「え?」
「三つ数える間に、離れろ!」
「え……」
「3…2、1……」

ガン━━━━!!!
「キャッ!」
女の首根っこを掴み、引き剥がして投げた。
相手が女性の為、かなり飛んだ。
思いっきり、背中を壁に打ち付けた女。
「……っつ…!痛ーい!
もう!何すんのよぉ蒼士」
「お前が言うこと聞かねぇからだろ!?」
「どうして!?」
「もうお前、必要ない」
「え?どうゆうこと…!?」
蒼士が机に向かう。
その背中に問いかけるが、何も答えない。

「洋次、コイツ…消して?」
「うん」
そう言うと女の首を片手で掴み、持ち上げた。
「え……」
部下達のびっくりして、洋次を見る。
この場の雰囲気が、凍ったように張りつめた。
「う…苦し……離し、て…」
蒼士はその姿を見ることもなく、パソコンを操作し仕事をしている。
「苦しい?
でも君がダメなんだよ?蒼士に触れたから。
もう、蒼士は花楓様にしか触れられたくないんだよ」
女は顔を真っ赤にし、クタッと力が抜けた。

「はい、終わり」
今起こっていたことは、殺人だ。
なのに、まるでただの作業が済んだ後のような言葉。

その一連の光景に、周りの部下達はただ黙って見ていた。
あまりの残虐な行為に、ただ立ち尽くしてたのだ。
蒼士と洋次に、何の情もためらいもない。

それこそが、東園のグループである。
そして、これが蒼士が“死神”と言われる所以である。

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