私に恋を教えてください
堅物で真面目
会社に戻った後、侑也は執務室に柚葉を置いて密かにマネジメント事業部に向かった。
課長である須藤を呼び出して、ミーティングルームに向かう。

役員の急な呼び出しであったけれど、須藤は全く動じる事なく、ミーティングルームの椅子に座った。

「須藤、お前甘えてない?」
「どういう事だよ」
旧知の間柄である2人の会話は、2人きりならいたくラフなものになる。

「柚葉ちゃんのことだよ」
先日まで、OJTを付けていなかった事だろうかと須藤は思う。

「しっかりしているから、大丈夫かと思ったんだよ。俺もフォローするように気を付けるし、春野にもついてもらってるから、今後は……」
「そういう問題じゃない」

侑也に言葉を途中で遮られた。
いつになく侑也がイライラした様子なのが、急に須藤は気になる。
「どうした?」

「嫌がらせされているぞ、彼女。それもすごく悪質なやつ。彼女自身に問題があるのなら放っておこうと思ったんだが、今日の感じだとそうも思えなくて」
「嫌がらせ?」
そう言われても須藤には、思い当たるふしはない。
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