暴君王子の恋の瞳に、私は映らない
「ほら、早く俺ん家に行くぞ」
私のバックが、ヒョイッと奪われ。
「腹減ったぁ。つぐみ、
一秒でも早く、たこ焼き作れよ」
鞭光君が、自分の肩にかけて歩き出しだしたから。
「ちょ、ちょっと……」
待ってよ……
私は、自分の席から立ち上がり
鞭光君の後ろを、追いかけたけれど……
「今からつぐみちゃんが、
鞭光君の家に行くってこと?」
「本当に付き合ってるんだ。あの二人」
「つぐみちゃんは、
鞭光君に興味無しって思ってたのに……
なんか、ショックだよね……」
女子たちの悲しみ声が
私の耳に入りこんできて。
教室を出ても、学校を出ても
その声は
私の脳にこびりついたまま
ずっと、離れてくれなかった。
明日、学校に行くのが……
怖くなっちゃったな……