もふもふになっちゃった私ののんびり生活 ~番外編

もふもふはほどほどに2

「キューーー、キャ、キャゥンッ!!」

「「あっ!逃げたっ!」」



 初めてアイリちゃんとおばあさんに獣姿をもふもふされてから、何度ももの欲しそうな視線をかいくぐり、死守していたが、とうとう二人がかりで迫られて、しぶしぶ獣姿になってまた二人でもふもふ撫でまわされて。

 おばあさんの手が尻尾の根元を撫でた時、反射的に飛び上がって二人の手を振り払い、夢中になって階段を駆け下りていた。

「あっ、ルリィ!街へ出るのは危ないからっ!」

 その途中でヴィクトルさんに呼び止められた気がしたが、伸ばされる手が怖くていつもならあっさり捕まるだろうにその時は無我夢中でヴィクトルさんの手をかいくぐり、カウンターを飛び越えて開けっ放しの店の扉から出てそのまま裏路地へと飛び込んでいた。


 しばらく周りも見ずに走り周り、丁度目に入った行き止まりの路地にあった木箱の影に入り込んで小さく丸まりブルブル震えて縮こまる。

 ううううう。手、こわい、もふもふされるの、撫でまわされるの、怖い……っ!!

 もふもふするのは好きだが、もふもふされるのは感覚が人だからかどうにもこうにもくすぐったくてむずむずしてしまうのだ。

 いや、顎の下とか耳の後ろとかかりかりされると気持ち良かったけど!!でも、気持ち良くて気づいたらぐでーっと伸びていたと気づいた時のいたたまれなさったら!

 自分がまんま猫のように気持ち良さに溶けていたと気づいた時、一度飛び上がって部屋の隅へと逃げたのだ。そこで自分の姿を思い描いてぷるぷるしていたら。

「「な、涙目で震えるルリィ(ちゃん)がかわいすぎるーーーっ!!」」

 と、また二人がかりで飛び掛かられて更にもふもふ撫でまわされ。もう身体がぐでぐでで目がぐるぐる回るようで、そこに非常にデリケートな部分を触られてとうとう逃げ出した、という訳だ。

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