秘め恋ブルーム〜極甘CEOの蜜愛包囲網〜
Bloom 2 災い転じて同居が始まる
近くにあった公園に着くと、諏訪くんは私をベンチに座らせてくれた。
「嫌じゃなかったら、これ羽織って」
「ありがとう……」
ジャケットを肩にかけてくれた彼に、どうにか微笑んで見せる。
諏訪くんはすぐ傍の自動販売機でペットボトルを二本購入し、「どっちがいい?」と訊いてくれた。お礼を言って、ミネラルウォーターを選ばせてもらう。
蓋を開けてから渡してくれた彼が優しく微笑み、ベンチから一歩離れた場所に立った。その行動に小首を傾げそうになった直後、ハッとする。
(そっか……。諏訪くんはきっと、自分が傍にいない方がいいと思ってるんだ……)
高校時代にも、同じようなことがあった。
三年生の二学期の文化祭のとき、知らない大学生ふたりに囲まれて動けずにいたところに諏訪くんが通りがかり、『先生が呼んでたよ』と助け船を出してくれたのだ。
もちろん、それは彼の方便。けれど、人気のない裏庭にごみを捨てに行ったときの出来事だったため、怖くてたまらなかった私にとってはヒーローのように見えた。
諏訪くんは私が落ち着くまで、少し距離を置いた場所で待ってくれていた。
彼の気遣いが私を怖がらせないようにするためだと察したとき、恐怖を感じていた心が不思議と温かくなった。
そして今も、あのときと同じ優しさを感じた。
「また、助けてもらっちゃったね……」
ぽつりと呟いた私に、諏訪くんが首を傾げる。
「諏訪くんはもう覚えてないかもしれないけど、高校の文化祭のときにも助けてくれたことがあったんだよ」
「覚えてるよ。遊びにきてた男ふたりに絡まれてた」
「うん……。あのときと同じだね」
「たまたまだよ」
彼はなんでもないことのように笑ったけれど、ちゃんと覚えてくれていたことも、偶然だったとしても助けてくれたことが嬉しい。あのときも、さっきも。
「嫌じゃなかったら、これ羽織って」
「ありがとう……」
ジャケットを肩にかけてくれた彼に、どうにか微笑んで見せる。
諏訪くんはすぐ傍の自動販売機でペットボトルを二本購入し、「どっちがいい?」と訊いてくれた。お礼を言って、ミネラルウォーターを選ばせてもらう。
蓋を開けてから渡してくれた彼が優しく微笑み、ベンチから一歩離れた場所に立った。その行動に小首を傾げそうになった直後、ハッとする。
(そっか……。諏訪くんはきっと、自分が傍にいない方がいいと思ってるんだ……)
高校時代にも、同じようなことがあった。
三年生の二学期の文化祭のとき、知らない大学生ふたりに囲まれて動けずにいたところに諏訪くんが通りがかり、『先生が呼んでたよ』と助け船を出してくれたのだ。
もちろん、それは彼の方便。けれど、人気のない裏庭にごみを捨てに行ったときの出来事だったため、怖くてたまらなかった私にとってはヒーローのように見えた。
諏訪くんは私が落ち着くまで、少し距離を置いた場所で待ってくれていた。
彼の気遣いが私を怖がらせないようにするためだと察したとき、恐怖を感じていた心が不思議と温かくなった。
そして今も、あのときと同じ優しさを感じた。
「また、助けてもらっちゃったね……」
ぽつりと呟いた私に、諏訪くんが首を傾げる。
「諏訪くんはもう覚えてないかもしれないけど、高校の文化祭のときにも助けてくれたことがあったんだよ」
「覚えてるよ。遊びにきてた男ふたりに絡まれてた」
「うん……。あのときと同じだね」
「たまたまだよ」
彼はなんでもないことのように笑ったけれど、ちゃんと覚えてくれていたことも、偶然だったとしても助けてくれたことが嬉しい。あのときも、さっきも。