溺愛ウエディング~最後の夜に授かった赤ちゃんは社長の子、もう二度離さない~
許婚の帰国

加那斗side~

俺は父である会長に会長室へと呼び出された。

「来週あたり、裕美さんが帰国するぞ。先方はお前との結婚を進めたいそうだ」

「…俺は裕美とは結婚出来ません…」

「(株)エルネエンタープライズ」
大手の不動産開発会社。
宅地造成、リゾート開発、再開発事業、オフィスビル、商業施設の開発の多岐に渡り、手広く事業展開を行っていた。
老舗百貨店「高屋」と業務提携を結び、『汐留ヒルズベイサイド』にオープンさせる「高屋エルネ」は都内での大きなプロジェクトの一つ。
海外にも目を向け、情報を仕入れていた。
裕美は我が社の御用達の大手ゼネコン「林田組」の社長令嬢。
フルネームは林田裕美(ハヤシダユミ)
父親同士が大学の同級生で、同時期に結婚。
生まれた子供が共に男と女。

互いの会社の未来の為に許婚関係を結んだ。

「裕美さんはお前と同じ三十二歳…女性には子供を産むのに適した年齢があるんだ…わしだって…いつ何時、倒れるか…分からない…」

去年、病に臥して父も気弱になっていた。

でも、俺は裕美と結婚する意志は全くなかった。


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