西岡三兄弟の異常な執着
黄河
長男の黄河は、俺様でワガママな上に自己中心的な性格の31歳。
しかし朱雀と真白、花苗のこと“だけ”は、とても大切にしている。

三兄弟の中で天才的に賢く、まさに“頭脳明晰”という言葉がぴったりなのだ。

黄河自身もかなりの自信家で、自分が世界で一番の天才だと本気で思っている。
でもそれは、自意識過剰ではなく本当に天才的なのだ。
朱雀や真白もそんな黄河を慕っていて、二人共黄河の言うことはちゃんと聞くのだ。

そんな黄河には“一つだけ”どうしようも出来ないことがある。

それは━━━━━━
朱雀の花苗に対する“狂愛”だ。

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朱雀と紫苑が、東屋で話をしている頃。
黄河、真白、花苗は、二階リビングで話をしていた。
「花苗」
「ん?」
「ごめんな」
「え?え?黄河さん!?」
黄河は“失敗”をしたことがない。
何をしても完璧にこなす。
だから他人に“謝罪”することもない。
そんな黄河が、花苗に謝る。
花苗が驚愕するのも、無理はない。

「花苗は、紫苑が好きなんだろ?」
「え?」

「本当は、紫苑の嫁さんになりたかったんだろ?」

「それは……」
「でも朱兄ちゃんのせいで、朱兄ちゃんの嫁さんになってくれたんでしょ?」
「確かに、紫苑くんのことが好きだったよ。昔からずっと………
でも…朱雀の支えになりたいと思ったから、朱雀のお嫁さんになったの。
もちろん朱雀の、これ以上壊れた姿を見たくなかったっていうのもあるけど……
だから……黄河さんも真白くんも、そんな悲しい顔しないで?」
「花苗……」
「それに!」
「ん?」

「黄河さんが、謝るなんて珍しいー!!
今から大雨でも降るのかな?
……なんてね(笑)!!」
花苗が、フフ…と微笑んで言った。
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