幼馴染 × 社長 × スパダリ
彼女
今日は久しぶりに『be happy』に寄り道した。
ここに来るのは、いろいろと忙しくしていた為、涼ちゃんに出会った日以来だった。
“…カラン、カラン…”
懐かしいドアの音がする。
お店に入ると、少し薄暗い店内からマスターの優しい笑顔が見えた。
「おや、萌絵ちゃん久しぶりだね…元気だったかい?」
マスターは顔にクシャっと皺を浮かべて優しく聞いてくれる。
「マスター、あれからいろんなことがあってね…」
私はここで出会った涼ちゃんの事、株式会社リョースケの事、元カレの事など盛りだくさんの話をマスターにしていた。
幸い今日はお店も人が少なかったため、マスターはじっくり話を聞いてくれた。
マスターに話を聞いてもらうと、不思議と心が落ち着くのだ。
マスターは私の話が終わるまで、黙って頷きながら話を聞いてくれていた。
私の話がひと段落すると、静かに話し始めた。
「萌絵ちゃん、いろいろ大変だったね…でも幼馴染の二階堂君とここで出会うのは本当に偶然だよね…」
マスターの話によると、涼ちゃんは半年くらい前にたまたまこの店に立ち寄り、それから月に数回、来るようになったそうだ。
実は涼ちゃんは私のことをずいぶん前に分かっていたらしい。
私と幼馴染だということは、マスターに話していたのだ。
「実は、二階堂君に口止めされていたんだよ。萌絵ちゃんが気づくまで自分のことは言わないでくれってね…」
「マスター!知ってたら教えて欲しかったよ…」
「萌絵ちゃん、ごめんごめん…でも二階堂君がそんなに大きな会社の社長さんだったとはね…驚いたよ。」