スパダリ外交官からの攫われ婚
貴方に攫われるなんてお断り


「今週の日曜日、あけておいてね? まあ、(こと)さんはいつも家にばかりいるから大丈夫でしょうけれど」

 いつもの朝の片付けが終わった後に、継母に呼ばれたことは琴はそう言われた。普段琴は日曜に休みをもらえることなんてない、いつも休みは平日だった。
 周りの友人と休みが合わず家にいるしかなかったのは本当の事だが、そんな言い方しなくてもいいのにと琴は思ってしまった。

「え? ですが今週の日曜に休みを入れているのは姉さん達なのではないんですか?」

「いいのよ、今週は琴さんが優先なのよ。なんたって貴女のお見合いの日なんだから」

 継母の言葉に琴は言葉を失ってしなう。受けるとも言ってないお見合いを継母たちは無理矢理、琴に行かせようというのだ。
 まさかここまで強引な手を使われると思っていなかった琴は、戸惑いきちんとした返事も出来ない。

「でも、そんな話は……」

「やあねえ、昨日も言ったけれど本当にいい話なのよ? 迷っている琴さんの背中を押してあげたいと思ったの、母親として」

 こんな時に限ってそんな言葉で言い包めようとする、そんな継母の態度に琴はゾッとするものを感じた。


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