関係に名前を付けたがらない私たち
1章

*ノストラダムスが大暴走

 私と耕平の関係を誰かに話せば、恐らく理解されないだろうし、理解してもらいたいなんて別に思っていないからいいんだけど、ただ、時々自分でも「この関係ってなんだろう」と不思議な気持ちになる。

 死ぬまでこうなんじゃないかと思うし、もしかすると生まれ変わってもこんな感じなのかな、と思うこともあって、それならそれでいいかな、と思いもする。

 私たちはいわゆる元カノ、元カレという間柄だ。

 付き合っていた期間は約2年。年齢は当時私が19歳、耕平が21歳の頃だった。

 1999年の春に付き合い始め、2001年の夏に破局した。後に就職氷河期と呼ばれる時代がちょうどこの頃だ。
 字面だけ見ると暗くて寒々しい印象だけど、当時は空前のギャルブームで、今でいうガラケーが主流の時代。

 現在私も耕平もアラフォーになり、世間的にはおばさんとおっさんだ。
 けれど付き合っていた期間の何倍もの年月、名状しがたい関係を続けている。

 今の若い子たちが知っているかはわからないけれど、1999年はノストラダムスという人物が遺した迷惑な予言のせいで私の精神状態は著しく不安定だった。

―――1999年の7月、空から恐怖の大王が降って来る。
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