西岡三兄弟の異常な執着~After Story~
下劣
それから秀実の友人三人は、紫苑の部下に連れて行かれた。

かなり泣き叫んでいた女達。
「秀実、最低!!」
「嘘ついてた上に、あんたのせいで私達まで……!」
「助けてよ!!」
最後まで、凄まじい目つきで秀実を睨んでいた。

「ほんっと、最低な女」
「お前のせいで、みんな地獄行きだな!」
「兄さんの思った通りになったね」
真白、黄河、朱雀が言って、また煙草に火をつけた。

「あぁ、秀実みたいな女は絶対なんかしでかすと思ってた。まぁ、こんなに早いとは思ってなかったがな」

「フフ…こんなに早く“sima”が完全に手に入るなんてね。確かに、西鷹組を使わなくても取り込めたね!
さすが、黄兄さん!」
紫苑も感心したように言った。

「だから言ったろ?
朱雀の手を汚させずに、手に入れるって!」
「でも兄さんの経歴に傷がついちゃったよ?」
「そうだよ!黄兄ちゃん。秀実みたいな汚い奴の、例え戸籍上だけでも家族になるなんて……」

「そんなの、どうでもいい。
朱雀や花苗が傷つくことに比べたら……!」
「兄さん…」
「俺は、朱雀や真白、花苗の為ならできる限りことはする」
「黄兄さん、俺はぁ?」
「あー、紫苑もついでに」
「またついでかよ!?
でもそれは、花苗ちゃんもだよ?」
「ん?何だ?」
「花苗ちゃんだって、三兄弟が傷つくことが嫌だから、秀実(アレ)の嫌がらせを耐えてたんだと思うよ」
「………そうだな」
「花苗は、優しいから…!」
「苗らしいね…!」

「西岡家の方々は、お互いに大切にされてますもんね」
と、森宮が言ったのだった。

「「「「当たり前!!」」」」
声を揃えて言う、三兄弟と紫苑。

「しかし、それは西岡家の方々の為だけ。
西岡家以外の、特に使用人には何の情けもかけない。
秀実さん、貴女のせいで島一族は地獄行きですよ」
それまで黙って聞いていた秀実に、ゆっくり目線を移した森宮。

「え……」
「え?って……紫苑様が言ってたじゃないですか!?
“地獄に落ちるのは、本人だけじゃない。
周りの人間全て、地獄に落とす”と。
だからご友人は、組員の方に連れて行かれた。
貴女のご家族やご親戚も、今頃地獄行きです」

「パパや、おば様達も……?」
秀実が恐る恐る、問いかける。
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