ままになったら極上御曹司に捕まりました?!
4年越しの想い
ーー4年前、ようやく結婚したいと心から思える相手ができた。

だが、幸せだった時間もつかの間、急遽海外支社へ行くことになった。

ほんとに、あの時はどうすればいいか頭を抱えた。
だが、将来会社を担う身としてはここで業績をあげるのも重要なことだった。
悩み悩んだ末、先に婚約指輪を渡して帰ってきたら結婚しようと思った。
まだ付き合ってからは日も浅かったが、後にも先にも、ここまで大切な人はさくらしか居なかった。

途中帰国できるかは分からなかったが、できるだけ連絡もとって会いに来ようと考えていた。

そう思って、パリへ飛ぶ2日前にさくらを呼び出した。…が、俺が決めたことを言う前に、さくらの方から突然別れを切り出され、逃げられる前に慌てて婚約指輪だけを無理やり渡した。

…どこから間違っていたのだろう、どこが悪かったのか。
彼女が俺の手から離れてしまった。

だが、まだ全てを諦めたわけではなかった。
もう一度きちんと話をしたいと思い、パリに着いてからも、何度もさくらと連絡を取ろうと試みた。

だが着信拒否にしているのか、結局連絡も取れずじまいだった。

仕事も最後まで忙しく、時間をとって日本に帰ることは出来なかった。

そして3年ぶりに日本に帰ってくると、さくらの姿は跡形もなく消えていた。

周りの人に聞こうとしたが、俺たちが交際していたことを知る人はおらず、専務という立場上、それを聞くことも難しかった。

…仕事を辞めるほどの何かがあったのだろうか。
それとも、俺と顔を合わせるのも嫌になったとか…でも仕事に一生懸命だった彼女はそんなことで仕事を辞めることは無いだろう。

一体さくらはどこへ行ったんだ。

日本に帰ってきてからは、仕事をするのにもどこかさくらの姿が常に頭にあった。

…彼女にもう一度会いたい。
女々しいし、重いかもしれないけど、あの時別れた理由が聞きたい。

そしてその想いが届いたのか、とうとう彼女を見つけた。…それも子供を連れた彼女を。

彼女に大切な家族がいて、幸せに暮らしていると言うことが嬉しくもあり、悲しくもあった。
< 45 / 53 >

この作品をシェア

pagetop