灼けるような恋の先。
プロポーズ
その声を聞いた瞬間にぶわっと鳥肌が立って、その声の主に目線を向けて固まる。
「菫、久しぶり」
「い、いつ…き」
そう、そこに立っていたのは前より少し大人っぽくなった樹が居たのだ。
あまりに突然の出来事に開いた口が塞がらない。
「樹…なんで…」
色々聞きたいことはあるのになんでしか出ない私に笑いかけて、私の前で跪いた樹。
「俺と結婚してください。」
「っ!?」
突然に突然が重なって最早なにがなんだかわからない。
そんな私に指を差し出す樹。
「あ、今付き合ってる奴がいたりもう結婚してたら断っていいからな?
これは俺の自己満だから」
戸惑う私に優しくそう声をかけてくる樹。
そんな姿がたまらなく愛おしい。
こんな気持ちになるのに断る理由なんてある訳ないじゃん。
「是非、お願いします」
私は全ての思いを込めてそう返事すると、樹は私の左薬指に指輪をはめた。
「今回は指輪受け取ってくれよ。
もちろん灯の指輪もずっとネックレスでつけてていいからさ。」
気遣いに溢れるそんな言葉に私は何度も頷く。
すると、ぱちぱちと拍手の音が聞こえてきた。