婚約破棄するはずが、極上CEOの赤ちゃんを身ごもりました
四、愛される幸せ
 二十歳の誕生日当日の土曜日。

 横浜でデートして、夜はホテル専用のクルーズ船で豪華なフレンチ料理を堪能しながら、大観覧車や赤レンガ倉庫などみなとみらいの運河を遊覧するという。

 ホテルにチェックインしたのちクルーズ船に乗り込み、レストランフロアに足を踏み入れた私は、綺麗に咲いた花々や風船などが飾られ、夢のような誕生日のお祝い装飾に目を丸くした。

「こんなすごい船に私と亜嵐さんだけ……?」

 ほかにお客様の姿はなく、いるのは数人のスタッフだけだ。

「ああ。一葉の二十歳の誕生日祝いは記憶に残るものにしたかったんだ。一葉、誕生日おめでとう」

 すかさず真紅のバラの花束を持っていたスタッフが近づいてきて、亜嵐さんに手渡す。

 去年の約束通り、今年はきっと二十本のバラ。

「亜嵐さん、ありがとうございます」

 彼から差し出された花束を受け取り、最高にうれしくて満面の笑みを浮かべる。

 去年の誕生日は亜嵐さんに愛されているとは思ってもみなくて、複雑な気持ちでお祝いをしてもらった。

 でも、今日の誕生日は亜嵐さんから愛されている自覚があって、幸せいっぱいだ。ただ、この後に起こることで緊張感にも包まれていた。

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