強引でロマンチストなホテル王に溺愛されました。
恋の揺らめく場所
 今日からは別のベッドで、と言ったけれど、よく考えればそれは無理な話だった。

 だって、今日泊まるホテルは昨日と同じなんだから。


 別の部屋を……と思っても常に満室に近い状態のホテルでは無理な話だったみたいで……。

 ついでに言うと、ケント自身が乗り気じゃなかったこともありそのままとなっている。


「今日も疲れただろう? 先に休んでてくれ」

 そう告げた彼は仕事がある様で、スマホとタブレットを並べつつカテリーナさんに送って貰ったらしい何かの書類を読んでいた。


「仕事があるなら無理に丸一日私に付き合わなくても良いんですよ?」

 気を使ってそう言えば。

「依子と出かけたいのは俺のわがままだ。それで仕事を夜にまとめてやらなきゃならなくなるのは俺の自己責任だ。依子が気にすることじゃない」

 と笑顔で拒否されてしまう。

 そんな言い方をされたら付き合うのを止めろとは言えない。
 だから私は「無理だけはしないでくださいね」と言い残してシャワールームに向かった。


 汗を流してサッパリすると、今日一日歩きっぱなしだった疲労感がドッと襲ってくる。

 だから、私はベッドに入るとすぐに眠ってしまった。
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