合わせ鏡の呪縛~転生して双子というカテゴリーから脱出したので、今度こそ幸せを目指します~

自己肯定感(七)

 本来ならば、こんな質問は許されるものではありません。でもこれは好奇心ではなく、お嬢様のお心を守るためには知っておかないといけないと思うのです。

「マクミラン公が、ミアに婚約を申し込んだ」

 侯爵様はやや考えた後、吐き捨てるようにお答えくださいました。

「!」

 驚きのあまり、言葉が見つかりません。

「ソフィアは、グレン殿のことを……」

「口では、恋愛感情はないとおっしゃっておりました。グレン様とご自分は親友でしかないと。ですがとても仲がよろしかった分、ショックも大きいかと」

「そうか……。そうだな……。悪いがしばらくは他の者にも協力してもらい、ソフィアから目を離さないようにしておくれ」

「かしこまりました」

 うなだれる旦那様に挨拶をすると、私は退出した。

 グレン様はソフィアお嬢様へ求婚なさるものだと、きっとこの家の誰もが思っていたはず。

 だから旦那様もあの場にソフィアお嬢様を呼んでいたに違いありません。

 わたしごときではグレン様の思いを知ることはないでしょう。

 でも、これではあまりにもお嬢様がかわいそうです。

 旦那様の言うように、もし、万が一があってはいけません。

 交代でお嬢様の部屋の前に待機する準備をしなければ。

 お嬢様こそ、幸せになって欲しい。わたしは決意を新たに、侍女の控室へ向かいました。
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