廃屋の捨てられ姫は、敵国のワケあり公爵家で予想外に愛されています
「明日から、レグナントへ去る準備を始めるのだな。寂しくなる」

「はい。でもお父様、私たち、お、親子なのですから、絆は切れることはありません!」

親子と口に出して言うのは、未だに少し照れる。
お父様もどこかぎこちない。
そんな私たちを見て、お茶を淹れていたエレナがクスッと笑った。

「そ、そうだな!しかしその前に祝祭を存分に楽しむといいぞ。芸術、文化の国アルカディア、その名に恥じないほどの華やかさだ」

「劇団のみなさんも上演するのでしたね。楽しみです!」

今日は私が正式に王女としての称号を与えられる日で、なおかつ誕生日でもある。
アルカディア国中が祝祭日でお休みとなり、王宮の外からは祝いの空砲や、賑やかな音楽も聞こえて来ていた。
アルカディア劇団の上演に加え、舞踊や歌唱。
女神ローディアを祀る国に相応しい出し物の数々に、私の胸も踊る。

「各国からの祝いの使者や貢ぎ物もたくさん来ていたぞ」

「ありがたいことです。みなさん私のために遠くから。あ、レグナントからはどなたが来るのでしょうか?」

アルカディアとレグナントは、改めて同盟を締結した。
以前は国王と第二王子の交友だけで、国同士の繋がりはなかったけれど、これを機により強固な同盟を結んだのである。
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