今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。

振り向いて。


次の日。

実は昨日、


『アイツの気を引く方法?あーゆるふわっと二つ結びでもしてみたらぁ?』


と多少からからかうように陽奈ちゃんに言われたけど……そうしてみることにした。


ゆるっと結んだ二つ結び。


なんだか半端ない違和感がするけれど、この髪型でたまには行ってみても多分、いいと、思う……。



よしっ!行くぞ!

ペチペチとほっぺたを叩いて、家を出た。


「いってきまーす!」

「いってらっしゃい!」


ガチャン


久遠くん、髪型変えたって気がついてくれるかな?


ドキドキしながら学校へと歩いていると、妙に視線を感じた。


それは、学校に近づくに連れてドンドンと増えて行くように。


「お、はよ。天音」

「あっ!蘭くん!」

「……どうしたんだよ、その髪」

「あ、あのね!陽奈ちゃんがしてみたらーって言ってたから」


パーマかけるの、髪がストレートなせいで面倒くさかったけれど、頑張ったっ……!!


「……なぁあれ、神木じゃね?」

「嘘、あの不良手懐けたのかよ天使さま」

「さすがだわ……」


不良くん?天使さま?みんな、なにを話しているんだろう。


「あっ!天音ちゃぁーん!おっはよ!」

「あっ!伯斗先輩!」


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