今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。

やっぱり好きなのに。

「んぅっ……」

「っ!!天音……」

……目を覚まして、1番最初に見えたのは、涙を浮かべながら私の手をぎゅっと握る久遠くんだった。

多分ここは保健室だ。


優しいパステルカラーのピンク色のカーテンで覆われた私の寝ているベッド。


「……久遠くん……」

頭がボーッとして、あまり思考が働かない衝動に襲われる。

「大丈夫か?」

「っ……!」


久遠くんのいまにも泣き出してしまいそうなその声で私は正気に戻った。

そして思い出した。


「久遠くん……私……私っ……ごめんなさいっ……」

久遠くんが庇ってくれたおかげであまり怪我はしなかったはずなのに、私が優々とこんなところで寝てたなんて申し訳ない……。


「気にすんな。」

「ううっ……あっ……久遠くん、怪我は……?」

「ちょっと頭を打っただけだ」

「そっか……」


はぁ……私がバカなせいで……。

「本当にごめ……」

「謝るなこれ以上謝ると泣くぞ」

「ええっ……あっ……じゃあえっと……ありが、とう」

「ん」

嬉しそうに私の大好きな優しい笑みを浮かべた久遠くんは、私の頭を優しく撫でてくれた。

「天音が無事で、なによりだ」


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