一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
「はい。今は同じ学校を卒業した先輩の元で働いてます。知らないと思いますけど、『Fill(フィル)』っていうブランドです」

 ちょっとでも知っているといいな、なんて期待してブランド名を言ってみた。

「ああ。知ってる」
「ほっ、本当ですか!?」
「パタンナーの埴田(はにだ)恩未(めぐみ)とデザイナーの椛本(かばもと)紡生(つむぎ)のコンビは、卒業前から有名だったし、目をつけていた人は多かったよ」

 ふざけてばかりいる先輩(主に紡生さん)だけど、やっぱりすごい人だったんだと思った。
 学生時代から紡生さんたちは賞を取っていたし、すごい才能だと聞いていたけど、リセの口から聞くと尊敬の念が百万倍くらいあがった。

「独立されてしまったのは残念だった」
「え? 残念?」
「いや、こっちのこと。自由にやるほうが楽しいだろうし、彼女たちには合っていると思う。でも、いずれ伸び悩む」
「どうしてですか?」
「経営の才能とデザインの才能は別だからだ」

 ――経営。そう言われたら、先輩たちは経営者向きではないかもしれない。
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