一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~
「嫌じゃないですけど、でも、こんなの」
「じゃあ、いいね」

 リセがくすりと笑う声すら、くすぐったい。
 背後から抱き締められていて、気づいたけれど、女性してはがっしりした手と体をしている。
 下着が落ち、夜の空気に肌が触れ、アルコールが抜けていなかった頭が、徐々にはっきりとしてきた。
 わずかに抵抗しようとした私に、リセは気づいたのか、耳元で囁いた。

「こっち向いて。琉永(るな)

 振り返り、後ろを向くと唇を奪われた。
 せっかく頭がはっきりしてきたのに、唐突なキスが、私の道徳観を吹き飛ばす。

「ん……、リ、リセ……」

 舌で唇をなぞられると、こそばゆくて、なんだかもどかしい。
 
 ――女同士なのにキスしちゃってる?

 体を押し倒されて、とっさにリセの体を手で押した。

 ――あれ? 女の人にしたら、なんだか筋肉質すぎない?

 体に触れようとした私の手をリセがつかみ、指にキスをした。
 熱い唇の感触と丁寧なキスに、恥ずかしくなって慌ててしまった。

「だ、駄目っ……手を離して……!」
「離してほしい? 本当に?」
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