極上御曹司に見初められ、溺愛捕獲されました~一途な海運王の華麗なる結婚宣言~

5.初夜は契約に含まれません!

「なんであんなことしたんですか!」

 翔一郎さんを睨みあげて抗議する。
 結局わたしが我に返ったのは、あの花嫁宣言が終わりパーティー会場のアトリウムを出てから。
 しばらくぼんやりしてしまって何も考えられなかった。

「あのくらいしないとリアリティーがないだろう」

 気がつくと翔一郎さんにエスコートされたままエレベーターに乗り、降りた階の長い廊下を歩いていた。

「でも……でも! キスまでしなくても」
「外国籍のクルーズ船だぞ? そこまでみんな気にしていないさ」

 みんなが気にしなくても、わたしは気にする!

 さらに文句を言おうとした時、ここがわたしの部屋のあるフロアではないことに気がついた。

「あれ……?」

 ここ、上級キャビンのフロアじゃない?

「……すごい」

 シングルルームのあるフロアとは廊下からして雰囲気が違う。廊下のカーペットでさえエレガント!
 しかも、ドアとドアの間がかなり離れている。ドアの間隔が広いということは、つまり一部屋がそれぞれ広いということだ。

「あの、ここは?」

 わたしたちは船尾へと向かっているようだった。
< 40 / 252 >

この作品をシェア

pagetop