私は今日も、虚構（キミ）に叶わぬ恋をする。

親友への嘘

その日の昼休み。


「深月、久我山くんと付き合い始めたって本当？」


お弁当のウインナーをフォークで突き刺しながら、親友の陽菜がじっとりと私を睨みつけてきた。


「う、……うん」

「何それ！？　何で急にそんなことになってるの！？　転校してきてから数日しか経ってないじゃん！

ていうか、アタシ何も聞いてないんだけど！？
朝一番にクラスの子達に囲まれて、『深月と久我山くんはいつから付き合ってたの！？』とか質問攻めにされて、めちゃくちゃビビったんだからね！？」

「ご、ごめん……」


朝から機嫌が悪そうだったのは、そのせいだったんだ。


「こっちは昼休みまで待ってあげたんだから、その分ゆっくりじっくり、どういうことか説明してもらうからね！」


陽菜がずいっと私の方に身を乗り出してきた。

『今日は教室じゃなくて中庭でご飯食べよう』って言われた時は不思議だったけど、私から話を聞くためだったんだ。

教室だとクラスメイトに聞かれてしまうから、という陽菜なりの気遣いだろう。


陽菜は部活があって、昨日の放課後は教室にはいなかった。

なので、私が宝城先輩に向かって、優星くんが私の彼氏だと宣言したところも見ていない。

クラスメイトからいきなりその話を聞かされたのなら、確かにびっくりするだろう。