eスポーツ!!~恋人も友達もいないぼっちな私と、プロゲーマーで有名配信者の彼~
もじもじしているヤマトを見て、ソウマさんが気を使って話しかけてくれる。

「あー、ハルさん。今日の練習オフ会はこの近くに住んでるマンダムってやつの家でする予定なんですよ。マンダム、午前に仕事が入ったみたいだからどっかでお茶でも飲んでから行きませんか? 少しハルさんに慣れとかないと、ヤマトも対戦どころじゃないだろうし」

「わ、わかりました……?」

ソウマさんは見た目からも予想できるけど、かなり女性の扱いに慣れているように思う。配信でも女性のファンが目立つし、グッズとかも売ってるもんね。色の濃いサングラスをつけている理由もわかる。

私達はソウマさんに案内されるままにカフェに入った。

「では、あらためて初めまして。僕はソウマ。一応プロゲーマー。ゲーム実況者で高校3年生! 基本格ゲーメインだけど、色々してるよ」

「はい、存じています」

私がそう答えると、ソウマさんはにかっと笑った。少し長めの茶色い髪が揺れる。女性みたいな、すごくキレイな顔をしていると思った。

「ほら、ヤマトも」

ヤマトは伏せていた顔を上げて、おずおずとこちらを見る。


「えと、ヤマトです。e-Japan(イージャパン)所属のプロゲーマーで、高2です……?」

「なんでお前が聞いてんだよ」

「ヤマトさん、緊張しすぎですよ」

ソウマさんは声を出して笑っていた。

「初めまして。春菜と言います。ヤマトさんと同じ高2です」

ヤマトはちらっとこちらを見ると、視線をテーブルに落とした。

「お、同い年なんですね。まさか、こんな可愛い人だなんて思ってなかったです。あの、言い方悪く聞こえたらあれですけど、ストロベリーって男のファンが多いので……」

「ヤマトは恥ずかしいわりに面と向かって可愛いとか言えるんだな」

「ちょ、ソウマ、いらないこと言わないでくれ!」

ヤマトは耳まで赤くなっている。

でも、第一印象は悪くないのかも……?

「ストロベリー可愛いですもんね! でも可愛さと性能は別です。私は性能をみたうえでストロベリーをメインキャラに選んだんです」

「そう! なんでストロベリーをメインにしているか、直接話もしたかったんです!」

ヤマトは急に身を乗り出して話してきた。やっぱりゲームが心の底から好きなんだな。そこには、いつもの画面のなかのヤマトがいた。


共通の話をするのは、こうかがばつぐんらしい。
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