離婚しましたが、新しい恋が始まりました
冷たい人


「じゃあ、また」
「また、病院で」

紬希は、たったこれだけの会話が嬉しい。光宗と気持ちが通い合うと、彼とさり気ない言葉を交わすだけで幸せを感じた。



光宗から告白されたことで、少しずつ紬希は自信を取り戻していった。仕事を離れても必要とされていることが彼女の心の支えになったのだ。

光宗と付き合い始めた事を中畑有梨に告げると、涙を流さんばかりに喜んでくれた。

「やっとだね、紬希」
「有梨……」
「時間がかかったけど、紬希には幸せになって欲しかったんだ」
「ありがとう」

週に三回、三島総合病院へ彼はやって来る。時間があれば二人で食事をしたり、沢村ドクターと有梨との四人で会う事もある。

次第に磐が紬希のマンションへ立ち寄る回数も増えていった。
磐はまだ、キス以上は紬希に求めてこない。彼の言葉通り、ゆっくりと二人の関係は深まっていった。


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