離婚しましたが、新しい恋が始まりました
「この前、実家で見つけたんです。何故か、しまい込んでいたらしくて」
「良かった、遅くなったけど君の手にちゃんと届いて」
「あなたが初めて有沢の家にいらした日、あの日に見つけたの」
「なんだ、俺たち縁があるんじゃないか」
「とても気に入ったから、どうしても使いたくて……」
今さら結婚祝いを使い始めたことが少し後ろめたくて弁解してしまった。
それが磐にも伝わったのだろう。彼なりにフォローしてくれた。
「良かったよ、ちゃんと届いて。君に幸せになって欲しくて、君に使ってもらいたくて選んだんだから」
「嬉しい……」
自然に紬希の表情が明るくなる。
「そんな風に、笑顔で過ごしてくれ。俺といる時は」
「磐さん」
磐の手が、さり気なく紬希の頬に触れた。彼にしてみれば、壊れないようにそっとグラスを持つような感覚かもしれない。やっと手に入れた紬希を磐は手離せないのだ。
「君が自然に受け入れてくれるまで、無理はさせたくない」
それは、無理には抱かないという誓いのような言葉だった。
「俺たち、これからゆっくり始めよう」