きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで
特等席
放課後、今日出されたばかりの宿題をやろうと机の上に教科書とノートは広げているものの、全く見向きもせず、頬杖を突きながらまだ明るいグラウンドをぼんやりと眺める。

窓際で後ろのこの席は、やっぱり大好きだ。

先生の視界にあまり入らないからか、授業中あてられることはほとんどないし、少しぐらい居眠りをしたってバレない。

けれどそれ以上に。

「やっぱりサッカーをしている悠斗が、一番かっこいいな」

放課後、部活に励む悠斗の姿がよく見えるから、この席は私にとって特等席だった。

本格的に夏を迎え始めた今、夕方といえども、気温はそれほど下がらない。加えて、やっと梅雨を抜け出したというのに今日は湿度が高くて、ただ座っているだけでも窓の外から生ぬるい風が吹き込むたびにじわっと首元に汗が滲み出る。

こんなに暑い中、部活をするのは大変だろう。

熱中症にならないかな。
部活が終わったら、スポーツドリンクでも渡そうかな。
それとも、キンキンに冷えたアイスの方が嬉しいのかな。

グラウンドを走り回る悠斗を目で追い続ける。

だから、気づかなかった。

まさか私の後ろから、一緒にグラウンドをのぞいていた人がいるなんて。


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