夜桜
「明日から世話になる。 観察の山崎丞という。」

「誠守椿です。 よろしくお願いします。」

高い身長から、本当に忍びなのかと疑う。 山崎さんは私を見て微笑んだ。

沖田さんと同様、親しみやすい顔だった。

「明日の詳細は以上だ。山崎はこいつを見張れ。お前は絶対に敵に間者であることを悟られるな。まあ、今日みたいな感じでいけばいいだろう。だが、万が一のためだ。 山崎 は何かあれば騒ぎにならないように場を納めろ。 仕事はよっぽどのことがない限り、自 分の命を優先しろ。 分かったな?絶対に死ぬなよ。」

土方さんの真剣な眼差しに胸を打たれた。 私と山崎さんは、頭を下げた。

「「御意。」」

仕事なると鬼と化する土方さんには、やはり尊敬する。

だが、それ以外の時の土方さんの笑顔には構わない。土方さんは、そんな力がある人だった。
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