夜桜
屯所に帰る道中も、私は街を歩く一人一人に目を向けた。

「新選組がついに、 升屋を抑えたらしいぞ。」

私の耳に、そんな会話が聞こえてきた。

「ああ、古高俊太郎が捕縛されたらしい。」

「物騒だなあ。」

老人の会話に耳を傾け、私は屯所へ急いだ。
今頃、古高は拷問を受けているだろう。

今朝まで笑って話していた古高の顔を見るのは、少しばかり気が引けるような気がした。
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