もう一度、その声が聞きたかった【完結】
12:決断
次の日の朝、勇人の家から大阪に戻った。

今日で圭介が退院出来ることになり
病院へと向かう。

「こんにちは。
退院のお手伝いにきました。」

『倉木さん、わざわざすいません。』

「あの、退院時のお洋服が無いかと思って
買ってきました。」

『あぁー、ありがとうございます。
そこまで考えてなかった。助かります。』

病院に来る途中に
事故の時のスーツは血が着いていて
処分していたのを思い出し
セーターとズボンと靴下を購入した。

退院手続きを終えて病院を出る。

『あの、倉木さん。
少しお茶しませんか?』

「はい。私も話したい事があるので…」

病院近くのカフェに入りコーヒーを飲む。

「右手のギプスはどれぐらいで取れそうですか?」

『たぶん今月中には取れるみたいです。』

「不便ですよね。お仕事はどうするんですか?」

『PCは片手でも使えるのでなんとか。
しばらくは内勤になりそうです。
あと、ご存知かも知れませんが
style me(スタイルミー)の担当は外れることになりました。』

「昨日、本社で聞きました。
ご迷惑お掛けして申し訳ないです。
実は私も今月いっぱいで大阪店を離れることになりました。」

『そうですか…。次はどこの店舗に行かれるんですか?』

「実はまだ決まってなくて…。
本社からは店舗異動か本社勤務か選んで欲しいと言われていて。
私、お店に立つの好きなんです。
お客様の反応を直接見て感じる事が出来るので。
今までそれをパワーに頑張ってきました。
事件の後、自分の接客が間違ってたんじゃないかとか…色々考えてしまって。
今は店長としての気力だけでなんとか乗り切れてますけど
大阪店を離れてしまったらどうなるのか…
正直どうすればいいかわからなくて…

って、すいません。
こんなこと言われても困りますよね。」
< 113 / 168 >

この作品をシェア

pagetop