禁忌は解禁された
颯天のライバル

【暁生、登場】

「組長!姫!暁生(あきお)が来てますよ」

ある日の朝食中のことだった━━━━━
暁生の存在が、また波乱を巻き起こそうとしていた。

「は?暁生!!?」
「暁生くん?久しぶりだね~」
「追い返せ!!!」

「え?颯天、どうして?
暁生くんだよ?銀くん、呼んで」
「ダメだ!!」
「えー!じゃあ、私だけ会うね!
銀くん、応接間に通して?」

「はぁぁ!!?」


「一颯~!!久しぶり~!」
応接間に移動する、颯天と一颯。
暁生が、一颯に寄ってきて頭を撫でる。

「暁生くん、久しぶり!」
「ヤバっ!!益々、綺麗になってる~!!
可愛い~!!」

「暁生、一颯に触るな!!!一颯が穢れる!!」
颯天が暁生の手を掴み、潰すように握った。

「颯天組長いたの?
……………てか、いてぇよ!!」
「早く消えろ!!」
「やだよ!!一颯に会いに来たんだもん!!」
「俺は許可してねぇよ!!」
「お前の許可なんか、いらねぇよ!!」

「ちょ…ちょっと、二人共……!!」

暁生は、太賀(たいが) 暁生と言って、一颯の小学生の時からの幼なじみだ。
颯天は神龍寺に引き取られた時から暁生が嫌いで、事あるごとにつっかかっていた。

そして暁生も、まるで番犬のようにくっついている颯天を苦手としている。
それは━━━暁生が、一颯に惚れているから。

だから二人はいつも、会う度に喧嘩をするのだ。

「ねぇ、一颯」
「え?暁生くん?」
「なんで、颯天“なんか”と結婚したの?」
「え?それは、昔話したでしょ?」
「わかってるよ」

「やっぱ、おかしい?」
「え?」
「私、どうかしてるかな?」
「一颯……」
「でもね。
好きなの。颯天のこと……傍にいたいの……」
「一颯、俺は颯天が弟だったからって理由で、聞いてるんじゃないよ?」
「え?」
「俺は親父さんや銀二さん達と一緒で、ずっと颯天と一颯を見てきたからわかるけど、颯天と一颯は“最初から”男と女だった。
颯天が神龍寺に引き取られた時から、颯天は一颯を“ある意味”女として見てた。
まだ三歳のガキなのに、妙に一颯を意識してた。
だから俺は、二人が元・姉弟って言われてもピンとこない。
俺が“颯天なんか”って言ったのは、あくまで颯天のこの性格のことを言ってるの。
こいつ、今や裏の魔王だよ?
とにかく、ヤバい男なんだから!
お姫様の一颯には、合わないよ!」

「そうかな?」

「はぁぁ!!?てか!てめぇだって、裏の王だろ!!?」
「は?俺の裏の王と、お前の裏の王は全く違うの!!」
「は?女から金巻き上げてるじゃん!!」
「はぁ!?世のホストに、怒られるぞ!!
俺達は、女性の心を癒す仕事してんの!!」

「もう!!颯天!!暁生くん!!
やめて!!」
また言い合いを始めた、颯天と暁生。
一颯が間に入り止める。
これは、毎回のことだ。

「「あ……ごめん……」」

二人は、一颯に頭を下げるのだった。
< 7 / 85 >

この作品をシェア

pagetop