魅了たれ流しの聖女は、ワンコな従者と添い遂げたい。

真の聖女の力

*−*−*

 帰りの旅もほぽ順調だった。
 私の脚もオランの言うとおり、しばらくしたら治った。
 カイルが落ち込んでいたので、「私はうれしかったよ」と耳打ちすると、元気を取り戻した。

 一度、盗賊の襲撃があったけど、オランが派手な攻撃魔法を使ったら、撤退していった。
 行きはいつの間にか御者台でオランが襲撃を防いでいてくれたみたいだ。
 本当にオランは有能よね?
 
「やはり私は御者台にいたほうがいいですね」

 溜め息をついて、オランは御者台に移った。

「ごめんなさい。ありがとう」

 私がお礼を言うと、オランは「この報酬はエブリア様からたっぷりもらいますから」とめずらしく笑ってくれた。

 浄化の効果がどこまで有効か、実験もさせられた。
 疫病が流行っていなくてもひとりふたりいるかもしれないから、通りすぎる町ごとに浄化をかけたいと私が恐る恐るオランに提案したら、彼の研究者魂に火がついたらしい。

 町を去るときに、町全体を意識して浄化を発動すると、キラキラな光が町全体を覆った。
 でも、通常の町ではその効果のほどがわからないので、疫病の流行っている町に入るときに、町全体に浄化をかけてみてほしいと言われた。
 ちなみに、私の浄化魔法は前と違って、一日何回までという制約はなくなったみたいなので、通りすがりの町や村に片っ端から浄化をかけていくことができた。

 疫病の流行っているらしい町に浄化をかけてから、中に入り、疫病患者が集められているという建物に向かうと、そこは大騒ぎになっていた。

(治っていないのかしら?)

 ドキドキしながら近づくと、そこは歓喜の声でいっぱいだった。

「苦しくない!」
「なんでだ? 光が下りてきたと思ったら、突然、息が楽になったぞ?」
「もうポンポンいたくないの!」

 町外れのここでも浄化の効果があったようで、ほっとする。

「ちょうどここは町の入口から一番遠いところです。ここで効果があったということは、浄化の範囲は相当広いということですね」
「よかったわ」
「真の聖女の力はこれほどまでに凄まじいのですね……」

 オランが半ばあきれたように、つぶやいた。

 聖女として、初めて役に立てた気がした。
 念のため、もう一度、浄化をかける。
 辺りが光って、慌ててオランに馬車に押し込められた。

「聖女だとバレたら厄介です。不用意な行為は慎んでください」
「ごめんなさい……」

 オランに怒られてしょぼくれたら、カイルが頭をなでてくれた。「アイリ様はご立派です」って。
 カイル、好き。

 こうして、浄化をかけながら、王都を目指した。



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