甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
「頼もしいな。頼りにしてるぞ、島内」
「はい、任せといてください」

「気合だけでうまく行くわけじゃないと思うけど」
 ボソッと呟いた多田さんに、わたしは、つい反論してしまった。

「でも、口先だけじゃないと思いますけれど。島内さん、ちゃんとそれだけの仕事もしてると思いますよ」

「ずいぶん庇うんだな。島内のこと」
「そういう訳では……」

 多田さんはちらっとわたしに目線を投げた。
「女性はすぐ騙されちゃうよな、あいつみたいな男に」

 話が変な方向に行きそうになったとき、島内さんがわたしたちふたりに声をかけてきた。

「そっちはちゃんと飲んでる?」
 彼はテーブルの向こうから手を伸ばし、わたしたちのグラスにビールを注いだ。
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