甘やかしてあげたい、傷ついたきみを。 〜真実の恋は強引で優しいハイスペックな彼との一夜の過ちからはじまった〜
「奈月……」

 快楽に翻弄されたわたしは、知らないあいだに涙を流していたらしい。
 唇でその涙をぬぐうと、彼はわたしを壊れるほど強く抱きしめた。
 そして、さらに激しく、わたしを責め立てた。

「ああ……ん」
 意識が遠のいて、ゆく。

「奈月……好きだ」
 絞り出すような声でそう言われた気がしたけれど、気のせいだろう。
 この人がそんなこと、言うはず……な……い。
 一晩だけの……相手に。

 わたしの意識は、そこで途切れた。
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