眠りにつくまで
二人の一歩







約束はしたものの、聖さんがどうしてもまた九州へ行かなければならなくなった。宿泊関係のクライアントの調査中で、繁忙期でないとチェック出来ないことがあるから週末に行くと。そして本当に今しかダメなことが起こっているともう少し詳しく話そうとする聖さんに言った。

「聖さんが大事な仕事で行かないといけないってわかったから、人に言っちゃいけないことまで言わなくて大丈夫」
‘…申し訳ないのと、残念なのと100%ずつだよ’
「それって…100%を大幅に超えてる…ふふっ…」
‘ほんと、これを避けるために寝ないで考えたけど無理だった’
「それは大変…1週間後に同じ予定で行くから、今夜は早く休んで」
‘光里も一緒にいい?1時間早く電話する’

もう12月半ばだ。忙しい人がほとんどだろう。学生の付き合いでなく、こういうことがあるんだなぁと、頭のどこかでぼんやりと樹と比べていた。そして夜の電話では

‘光里は学校と同じように冬休み?’
「ううん、生徒よりは短い休み」
‘クリスマスはまだ仕事?’
「うん、仕事」
‘25日の玲央たちとパーティーは玲央の家になった。全員25日も26日も仕事だから一緒に食事ってだけだけどね’
「25日火曜日だったね。聖さん、24日は結婚式って言ってたでしょ?」
‘そう。仕事してからだな。夜の披露宴だから’

結局早く寝るはずが1時間以上話をしてから眠りについた。
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