眠りにつくまで
進むまでの半歩





ん…また寝ちゃったの?

自分でも信じられない感覚で重い瞼を無理やり開ける。その重さはまだ寝足りないと主張しているようで嫌になった。

目に感じるはずの明るさがあるどころか辺りは暗く、隣に聖さんがいない。エンジンの切られた車内で私の体には私と聖さんの2枚のコートがかけてある。

どこ?それは‘ここどこ?’と‘聖さんどこ?’というどちらの意味も含めたどこ?だと思いながら体を起こすと何かが視界の中で動いた。名刺?その名刺には彼の番号と

‘買い物している。起きたら電話して’

と手書きで書かれていた。買い物?確かにここは駐車場だね…駐車場の灯りを頼りに周りを見渡すと‘JOY WORLD FOODS’という建物の電飾が見えた。輸入食品店だと聞いたことがあるが来たことはない。

とりあえず電話だね。バッグからスマホを出すと名刺の番号を間違えないようにタップする。すると1コールで

‘光里?起きた?’

聖さんの声が聞こえてきた。
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